社会教育団体としてのPTA
PTA(Parents-Teacher Association)の歴史は古く、日本ではじめてPTAが組織されたのは戦後間もない1945年です。
アメリカ合衆国から派遣された教育の専門家が、戦後の日本の教育について示した基本方針の一つである「PTAの設立と普及」に基づき、文部科学省を通じてPTAが全国的に広がりました。
PTAは、各学校で組織された保護者と教職員(児童を含みません)による社会教育関係団体です。
子どもたちのすこやかな成長のために、親(Parent)と教職員(Teacher)だけではなく、家庭、学校、地域社会が協力し合ってさまざまな活動を行う集まりです。
社会教育とは、「主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動」(社会教育法2条)のことです。
PTAには児童は含まれないため、保護者がPTAに加入しているかどうかによって児童が差別的に扱われることは許されず、等しく支援の対象となります。
PTAの組織
PTAは、行政機関ではありません。また、学校とも別の組織です。
飽くまで子どもたちに対する教育のためのボランティア団体であり、営利を目的としてはいけません。
PTAは民主的に運営され、自らのあり方を自らで決定します。
PTAの運営にあたっては、会員なら誰でも意見を述べたり、議案を出したりすることができます。
意思決定の際には、話し合いや投票などによって民主的に物事を決めなければなりません。
また、PTA活動には常にコンプライアンス(法令や社会的なルールを守ること)が求められます。
PTAの法的な位置づけ
PTAには法人格はありません。PTAの結成・加入を義務付ける法律の規定も存在しません。
日本国憲法第21条で、国民は誰しも自由に結社をすることが保障されています(結社の自由)。
このため、保護者または教職員は、希望すれば誰でも”任意加入団体”としてのPTAを結成・解散及び、入会・退会することができます。
社会教育法44条1項では、「学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のための利用に供するように努めなければならない」とされています。
PTAは、学校施設の確保に関する政令(学校施設令)3条1項2号の許可に基づき、学校の諸設備を活動に使用することができます。
このように、PTAが社会教育団体であるという性格を維持する限り、教育行政上の優遇を受けます。
しかし、PTAが社会教育を行わず、公共性を失った場合、学校内で活動したり、学校の諸設備を使用したりする法的根拠は失われます。